投稿日:2025.10.20 最終更新日:2025.10.20
未経験からネットワーク設計構築を目指すなら「無線LAN案件」がおすすめな理由
インフラエンジニアとしてキャリアを積む上で、「いつか設計構築に携わりたい」と考える方は多いでしょう。
しかし、現実的には未経験者がいきなり設計構築案件に参画するのは難しく、運用保守で止まってしまうケースも少なくありません。
そこで今回紹介するのが、設計構築への最短ルートとして“無線LAN案件”を挟む戦略です。
一見地味に思える無線LAN構築ですが、実は未経験者にとって最も現実的で実践的なステップアップ方法なのです。
目次
なぜ未経験から設計構築に行くのは難しいのか?
以前こちらの文章をXにポストしました
【未経験・若手のネットワークエンジニアに無線LAN案件が狙い目な理由】
「設計や構築をやりたい。でも未経験じゃ難しいですよね?」
そう聞かれることがよくあります。…— 川嵜大樹@ケルン社長 (@cairndk) May 9, 2025
SES業界では、エンジニアがお客様先に常駐して支援するのが基本です。
クライアント企業から見ると、「自社の業務を手伝ってもらうためにお金を払う」構造になります。
そのため、未経験者を教育する余裕はないのが実情です。
「お金を払って仕事を教える」状態になってしまうため、設計構築案件では即戦力が求められます。
この壁を突破するには、
- 少しずつスキルアップしながら3〜4現場目で設計構築に挑戦する
- 先輩とチーム参画し、背伸びした案件に入る
という2パターンがありますが、どちらもハードルは高めです。
そんな中で、スキルアップを加速させる抜け道として機能するのが「無線LAN案件」です。
無線LAN構築が狙い目な5つの理由

① 設置台数が多く、案件数が豊富
ルーターやUTMは1ネットワークに数台あれば十分ですが、無線AP(アクセスポイント)は数百台単位で設置が必要。
そのため現場では常に人手が不足しており、未経験者でも参画しやすい環境が整っています。
全国数百拠点を回る案件も多く、構築フェーズの経験を積むにはうってつけです。
② PoEスイッチやUTMなど幅広い機器に触れられる
AP構築では、単なる設置作業だけでなく、スイッチやUTMとの接続設定も行います。
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VLAN設定
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SSID・認証設定
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セキュリティポリシー連携
といった作業を通して、ネットワーク全体を理解する経験が得られます。
「APを通じてスイッチを触り、スイッチを通じてUTMやルーターを学ぶ」構造になっており、自然と上位レイヤーにステップアップできます。
③ 設計書や成果物の作成に関われる
無線LAN案件では、施工記録や設計図などの“完成図書”作成が発生します。
現地作業時に構成変更があった場合、詳細設計書やパラメータシートを修正する場面もあり、
単なる構築作業だけでなく「設計書の修正・管理経験」が積めます。
これはスキルシート上でも非常に強いアピールポイントになります。
④ 夜間・出張作業が多く不人気=チャンスが多い
無線LAN構築は、オフィスや学校が稼働していない夜間・休日に作業することが多く、
「出張」「夜間」「休日対応」が発生する現場もあります。
一見大変そうに見えますが、その分競争率が低く、参画しやすいのがポイント。
旅行気分で地方拠点を回る楽しみもあり、「不人気=チャンス」と捉えると良いでしょう。
⑤ 未経験から設計構築へステップアップした実績が多数
ケルンでは、無線LAN案件を経験してから設計構築へ進んだエンジニアが多数います。
AP構築やスイッチ設定、UTM調整、顧客折衝、ドキュメント修正など、
将来的に役立つ経験を多角的に積むことができ、スキルシート上も設計構築に近い内容を記載可能。
結果として、次の案件で王道の設計構築フェーズに進める確率が高まるのです。
無線LAN構築の業務フロー【3ステップで理解】
無線LAN構築案件は、以下の3ステップで進行します。
ステップ1:現地調査
設置予定の拠点を訪問し、APの設置位置や電波状況を確認します。
遮蔽物や電波干渉を避けるため、最適なレイアウトを検討します。
ステップ2:機器設定・事前テスト
SSIDや暗号化方式、VLANなどの設定を行い、
ワイヤレスLANコントローラー(WLC)にAPを登録。
構築後は社内でテストし、Wi-Fi接続や通信速度を確認します。
ステップ3:現地作業・最終検証
工事業者が天井や壁にAPを設置し、エンジニアがLANケーブルやPoEスイッチ接続を監督。
Wi-Fi接続テスト・疎通確認・ログ取得などを行い、設計書どおりの通信ができるか最終検証します。
このように、調査・構築・検証を一通り経験できる点も無線LAN案件の魅力です。
無線LAN案件を選ぶときの注意点

無線LAN案件といっても、実際にはさまざまなタイプがあります。
以下の2点を確認しておくと、経験になる案件を選びやすくなります。
AP・スイッチのキッティング(設定作業)が発生するか
→ 設定がないと「工事調整だけ」で終わり、構築経験として評価されにくいです。
現地作業を自分で行うか
→ 現場対応を経験できる案件を選ぶと、トラブル対応力や構築スキルが身につきます。
まとめ|無線LAN案件は“設計構築への近道”
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未経験者がいきなり設計構築に入るのは難しい
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無線LAN案件は台数が多く人手が必要なため参画しやすい
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スイッチ・UTMなど幅広く触れることができ、構築経験が積める
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設計書修正・検証作業にも携われるため、次のステップにつながる
「無線LAN=地味な仕事」という印象を持つ方もいますが、
実際はネットワーク構築の基礎を広く学べる最高の登竜門です。
これから設計構築を目指す方は、
ぜひ無線LAN案件をキャリアアップの一歩として検討してみてください。