Next GIGAスクール構想とは?IIJの新インターネット接続が教育DXを加速させる理由

文部科学省が推進する「GIGAスクール構想」は、日本の教育現場に大きな変革をもたらしました。

生徒一人ひとりにタブレット端末を配布し、ICTを活用した教育を行うことで、学習効率や教育の質を高める取り組みです。

しかし、実際の教育現場では

「思ったほどタブレットが活用されていない」

「通信が遅くて授業にならない」

といった課題も多く聞かれます。

こうした背景の中で、IIJ(インターネットイニシアティブ)が発表したNext GIGAスクール構想向けの新しいインターネット接続ソリューションが注目を集めています。

本記事では、GIGAスクール構想の課題から、IIJの新サービスが何を解決しようとしているのかまでを、インフラエンジニア視点で分かりやすく解説します。

GIGAスクール構想とは何か

【GIGAスクール構想の内容】

IIJは文部科学省が推進する「Next GIGA」に向けて、専用帯域確保型のインターネット接続サービスを2025年3月から提供開始します。
各学校に1Gbpsまたは10Gbpsの専用回線を敷設し、学校単位または教育委員会単位で帯域を確保できる仕組みです。これにより、文科省の推奨帯域を満たしつつ価格も抑えた形で提供します。

出典 IIJプレスリリース

GIGAスクール構想とは、簡単に言えば教育のDX(デジタルトランスフォーメーション)です。

 

  • 生徒一人ひとりにタブレット端末を配布

  • 授業・宿題・教材をデジタル化

  • 学習データを活用した個別最適化教育

これにより、例えば以下のような活用が想定されています。

  • 電子黒板の内容をタブレットに表示し、視認性を向上

  • 授業内容を後から振り返る

  • 体育の授業でフォームを動画撮影し改善に活かす

  • 生徒ごとの弱点に応じた問題を自動配信

理論上は「非常に合理的で便利な教育環境」が実現できる構想です。

なぜGIGAスクール構想は現場で活用されていないのか

現場で活用が進まない最大の理由は、インフラ面のボトルネックにあります。

主な原因は以下の2点です。

① 端末スペックの問題

初期のGIGAスクール構想では、

端末費用として約4,500億円、回線・Wi-Fi設備に約2,300億円、

合計約6,800億円の予算が投じられました。

しかし、生徒一人あたりの端末費用に換算すると約4.5万円

この価格帯では、どうしても最低限のスペックの端末になってしまいます。

導入当初は問題なくても、

アプリの高度化やOSアップデートにより、

徐々に動作が重くなるケースが多発しました。

② 回線が遅すぎる問題(ベストエフォート型)

例えば、生徒500人の学校を想定します。

  • 1人あたりの通信量:2〜3Mbps

  • 全体:1,000〜1,500Mbps(1〜1.5Gbps)

実際には全員同時使用は少ないため、

7割稼働とすると 約0.7〜1.05Gbps が必要になります。

しかし多くの学校で使われているのは

ベストエフォート型の1Gbps回線です。

ベストエフォート型とは

「最大1Gbpsを目指すが保証はしない」回線であり、

利用状況によっては200〜300Mbpsまで低下することもあります。

これは、

「一車線の道路に大型トラックが何台も走っている状態」

に例えられ、慢性的な渋滞が発生します。

Next GIGAスクール構想で何が変わるのか

GIGAスクール構想は次のフェーズとして

Next GIGAスクール構想に移行しています。

今回の予算(約2,500億円)は主に端末のリプレイスに充てられており、

端末性能は改善されます。

しかし、回線やネットワーク設備は原則流用です。

つまり、端末だけ良くなっても通信が遅い問題は解決しない可能性が高い、

という構造的な課題が残っていました。

IIJのNext GIGA向けインターネット接続の特徴

IIJが提供する新サービスの最大の特徴は、

帯域保証型回線である点です。

  • 1Gbps または 10Gbps の専用回線

  • ベストエフォートではなく「帯域保証」

  • 学校単位・教育委員会単位で帯域確保が可能

10Gbpsプランであれば、

生徒500人が同時に利用しても余裕を持って耐えられます。

これにより、

「回線が遅くて授業が止まる」

という問題は大きく改善されると考えられます。

それでも完全解決ではない理由|Wi-Fiの盲点

回線と端末が改善されても、

Wi-Fi(無線LAN) がボトルネックになるケースがあります。

多くの学校では、以下の構成になっています。

  • 回線

  • ルーター

  • コアスイッチ

  • フロアスイッチ

  • 無線AP(アクセスポイント)

特に問題になりやすいのが 無線AP です。

従来の Wi-Fi5 では、

1台のAPに接続できる端末数は約30台が目安です。

40人学級の場合、

APが処理しきれず、ここで通信遅延が発生します。

解決策:Wi-Fi6へのリプレイス

Wi-Fi6では、

  • 1台のAPで約50台程度の接続が可能

  • 同時接続時の通信効率が大幅に向上

となり、40人学級でも安定した通信が期待できます。

つまり、

回線・端末・ネットワーク機器(特にAP)を一体で刷新しないと、本当の意味でGIGAスクールは完成しない

と考えられます。

IIJの狙いと今後の展望


IIJの回線サービスは、価格面でも非常に抑えられています。

これは単に回線を売りたいのではなく、

  • 回線を入口に

  • ルーター、スイッチ、無線APなど

  • 学校ネットワーク全体の刷新を提案する

という戦略が背景にあると考えられます。

これが実現すれば、

  • 生徒:学習効率向上

  • 教員:授業負担の軽減

  • 事業者:持続的なビジネス

という「三方良し」の構造が成立します。

更にIIJの案件が更に広がればケルンのようなSES企業にも
案件が回ってくる可能性がある為、メリットのサイクルが回り始める可能性があります。

まとめ|GIGAスクール成功の鍵はネットワーク全体設計

  • GIGAスクールが使われなかった原因はインフラ不足

  • Next GIGAで端末は改善されたが回線は課題

  • IIJは帯域保証型回線で根本解決を狙っている

  • さらにWi-Fi6などAP刷新が不可欠

教育DXを本当に成功させるには、

端末・回線・Wi-Fiをセットで設計する視点が欠かせません。

今後のGIGAスクール構想の進展は、

教育現場だけでなく、インフラエンジニアにとっても大きなビジネスチャンスとなるでしょう。

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