PMとPMOの違いと役割は?インフラエンジニアが知っておくべき仕事内容を徹底解説
IT業界の求人を見ると、「PM(プロジェクトマネージャー)」と並んで
「PMO」というポジションをよく見かけます。
しかしSNSでは、
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PMOは高度なスキルが必要
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いや、ただの事務作業だ
と意見が割れ、混乱が生じています。
なぜこのようなギャップが起きるのか?
本記事では、PMとPMOの本来の意味・仕事内容・求められるスキル・案件ごとの差を、インフラ特化SESの視点からわかりやすく解説します。
目次
PMとPMOの本来の定義

まずは言葉の定義を整理します。
PM(Project Manager)
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プロジェクトの最終責任者
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要件定義、顧客折衝、進捗管理、品質管理、リスク管理など、あらゆる意思決定を行う人物
PMO(Project Management Office)
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人ではなく組織・チームを指す言葉
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プロジェクト全体を外側から監視・統制し、品質や進め方の基準を整える役割
本来、PMOとは「プロジェクトを監視・統制する専門組織」であり、
PMの部下」「PMのアシスタント」ではありません。
しかし IT業界ではこの言葉が変化し、
役職(職種)としてPMOという言葉が使われるようになったのが混乱の原因です。
PMの仕事内容|最終責任を持つリーダー
PMの主な仕事は以下の通り。
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お客様と要件を固める(要件定義)
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設計・構築チームへの指示出し
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プロジェクトの進捗・品質管理
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リスク判断と意思決定
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納期・予算管理
プロジェクトの成功・失敗の責任はPMが負うため、
技術力よりも マネジメント力・調整力・意思決定力 が求められます。
PMOの仕事内容|プロジェクトを外側から統制する役割
本来のPMOは以下のような役割を担います。
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プロジェクトにおける ルール・品質基準の策定
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フレームワークに沿って進んでいるかの監視
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リスクの可視化・管理
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PMへの改善提案やナレッジ提供
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プロジェクト全体の透明性向上
要するに、
「PMがプロジェクトを“動かす人”、PMOは外側から“正しい進み方かチェックする人”」
という立ち位置です。
これは高度な分析力・業務知識・マネジメント経験が必要なため、
PMOは本来 PM経験者がなる上位ロール とされています。
PMOはただの事務?ハイスキル?どちらが正解?

答えは簡単で、
PMOの定義が業界内で広がってしまったから。
実際の現場には3種類のPMOが存在します。
① 本来のPMO(高度スキル型)
クラウド移行や全社システム刷新など、
1億円規模の大規模案件でよく見られる本物のPMO。
■ 求められるスキル(例)
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プロジェクト統制の知識
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リスク管理
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ステークホルダー調整
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経営層とのコミュニケーション
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プロジェクトフレームワークの理解
■ 参考案件例
某企業のクラウドリフトPMO(単価160万円前後)
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複数プロジェクトの監督
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プロジェクト統制の実施
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PMと協力して課題解決
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経営層との調整
高度なマネジメント能力とIT知識が求められるポジションです。
② PMO(実質PMのサポート型)
現場で最も多いのがこのタイプ。
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PMのサポート
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課題管理、スケジュール管理
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ドキュメント作成
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各チームとの調整
など、何でも屋として動くケースが多いです。
特にSIerでは若手PMの後ろにベテランPMOがつき、
複数プロジェクトを並行してサポートする仕組みが一般的です。
若手の育成+プロジェクト進行の安定
を両立させるための役割とも言えます。
③ PMO風の事務(PSO:Project Support Office)
混乱を生む原因がこれ。
「PMO補助」などの名前で募集されますが、本質はプロジェクト事務職。
■ 実際の要件例
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会議室予約
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議事録作成
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メール・電話対応
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マニュアル整備
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Excel・Word修正
中には「25〜30代女性・容姿端麗」という異質な求人も存在。
これはエンジニアスキルを必要としない秘書業務の可能性も高くエンジニアのスキルアップには繋がらないパターンも存在します。
このように、
本来のPMO(高度)とPSO(事務)が同じPMOで募集される
ため、SNSで議論が割れているのです。
PMO募集の案件は大規模?

本来のPMOが必要になるのは、
おおよそ1億円規模以上の大規模プロジェクト。
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クラウド移行
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全社ネットワーク刷新
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複数拠点の統合
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基幹システム刷新
チーム人数が20名を超えてくると、
PMひとりでは管理しきれないためPMOが必要になります。
一方、PSO型は
小規模案件でも付けられる事務要員なので規模とは関係ありません。
PMOはキャリアとして価値が高い
本来の意味でのPMOは、
PM以上に高度な知識が求められる上位ロールです。
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PM経験
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マネジメント力
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ドキュメント力
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論理的思考
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組織的視点
これらが身につくため、
ITコンサルタント/DX推進/プロダクトマネージャーなど
その後のキャリア幅が広がるポジションでもあります。
まとめ|PMOは「3種類ある」と理解すればすべて解決する
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PM:プロジェクトの責任者
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PMO(本来):プロジェクト統制を行う組織
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PMO(実質):PMサポート/何でも屋
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PSO(事務):会議予約・議事録メインの事務職
SNSの論争は、この3つがまとめてPMOとして扱われることが原因です。
特にキャリアとして価値が高いのは、
PM経験を積んだ後に目指す本来のPMO。
市場価値も高く、高単価案件も豊富です。
これからPM/PMOを目指したい方は、
まずはどの種類のPMOなのかを見極めて応募するのが成功のポイントです。