ITコンサルは年収1000万円も可能?仕事内容・キャリアパス・SESから目指す方法を解説
「ITコンサルって年収が高いって本当?」
SNSや転職サイトでそんな声をよく見かけます。実際、IT業界の中でも年収1000万円以上を狙える職種として知られています。
とはいえ、「コンサル」と一口に言っても業務内容が曖昧で、実際にどんな仕事をしているのか分からない方も多いでしょう。
この記事では、ITコンサルの仕事内容・年収相場・必要なスキル・SESからのキャリアアップの現実的なルートまで、現場目線で分かりやすく解説します。
目次
ITコンサルとは?仕事内容をわかりやすく解説

「コンサルタント」という言葉にはさまざまな意味がありますが、ITコンサルの場合は、
お客様の経営課題を分析し、ITシステムでどう解決できるかを提案する専門家
を指します。
つまり、システムを作るのではなく、提案・設計・マネジメントを行う立場です。
コンサルとSIerの違い
ITコンサルとSIer(システムインテグレーター)の違いを例えるなら、以下のようになります。
| 立場 | コンサル | SIer |
|---|---|---|
| 主な役割 | 経営課題の分析・提案 | 要件に基づいたシステム開発 |
| 顧客との関係 | 発注側(アドバイザー) | 受注側(作り手) |
| 費用感 | 高い(提案料・支援料) | 安い(開発費中心) |
SIerが制作会社だとすれば、ITコンサルは戦略アドバイザー
「どんなシステムを作れば経営が良くなるのか」を考えるのが、ITコンサルの仕事です。
ITコンサルの主な業務内容
①課題分析と提案
お客様のビジネス課題を整理し、最適なITシステムの導入を提案します。
経営層と直接対話し、ROI(費用対効果)やリスクを含めた提案書を作成するのが特徴です。
②RFP(提案依頼書)の作成
RFPとは「Request For Proposal」の略で、SIerにシステム開発を依頼するための設計図のようなドキュメントです。
内容には以下のような項目が含まれます。
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現状の課題と目的
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解決したいゴールと指標
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開発スケジュール・体制
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予算・導入範囲
IPA(情報処理推進機構)の公式サイトでは、実際のRFPサンプルも公開されています。
こうした資料を作り、「誰に・何を・どのように依頼するか」を定義するのがITコンサルの重要な仕事です。
③ プロジェクトマネジメント(PMO)
提案が通った後は、SIerが実際に開発を進めるフェーズに入ります。
ITコンサルは発注者側の立場で、進捗管理・品質管理・課題解決の調整役を担います。
ITコンサルの年収はなぜ高いのか?

ITコンサルの平均年収は1000万円前後。
外資系コンサルでは1500万円を超えることも珍しくありません。
SES経由での実例
たとえば、インフラ特化SES「ケルン」の事例では、
製薬会社のPMO案件で単価160万円/月の案件があり、
会社利益が固定(10万円)であるため、年収1500万円超になるケースも。
一方で、コンサル企業のプロパー社員は単価300万円でも年収1200〜1300万円程度。
つまり、SES経由のコンサル案件では、年収が逆転するバグ的構造が起きているのです。
SESからITコンサルを目指すためのキャリアパス
ステップ①:PM/PL経験を積む
ITコンサルは、お客様の“先生”として提案・調整を行う立場。
そのため、まずは**PM(プロジェクトマネージャー)やPL(リーダー)**として、
進捗管理・要件定義などの経験を積むことが必須です。
ステップ②:要件定義・RFPの理解を深める
要件定義や基本設計の経験を積むことで、課題の構造化や提案の筋道が理解できるようになります。
これはまさに、RFPを作成するスキルそのもの。
ステップ③:IT全体を俯瞰できる知識を持つ
ITコンサルは、サーバー・ネットワーク・クラウドなどインフラ全体を横断して見る力が求められます。
1つの分野に特化するよりも、浅く広く全体を理解している人の方が評価されやすい傾向にあります。
ITコンサルに役立つ資格

ITコンサルになるために資格は必須ではありませんが、信頼を得る上でプラスになります。
| カテゴリ | 資格名 | 内容 |
|---|---|---|
| PM系 | PMP(Project Management Professional) | 世界共通のプロジェクトマネジメント資格 |
| 運用・管理系 | ITIL(ITサービスマネジメント) | 運用・保守・改善のベストプラクティスを体系化 |
| 技術基礎 | CCNA/LPIC/ネットワークスペシャリスト | 技術的知見の土台を補強する資格 |
さらに、コンサル職を目指す人におすすめなのが
📘 『コンサル一年目が学ぶこと』(著:大石哲之)
実際の現場で必要な「考える力・まとめる力・伝える力」が体系的に学べる一冊です。
SESエンジニアがコンサルに挑戦すべき理由
SESエンジニアの魅力は、「案件を変えてやり直せる柔軟性」にあります。
そのため、1〜2年だけITコンサル案件を経験してみるというキャリア実験も可能です。
実際に多くのエンジニアが、PM・PMO経験を経てITコンサルへ転身しています。
仮に「自分に合わなかった」と感じても、SESであれば別の案件に戻ることができるため、リスクは最小限です。
注意点:技術から離れる不安との向き合い方
コンサルの仕事は、ドキュメント作成と調整が中心。
そのため、手を動かしていたエンジニアほど「スキルが錆びるのでは」と不安を感じる人もいます。
しかし、コンサルに必要なのは“技術を提案に活かす力”。
技術を理解している人ほど、説得力ある提案や判断ができるため、
技術を活かす新しいステージとして捉えるのが正解です。
まとめ|SESからでもITコンサルは十分目指せる
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ITコンサルは発注者側の立場で、課題分析・提案・マネジメントを担う職種
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平均年収は1000万円前後、高還元SES経由では1500万円超も可能
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要件定義・PM経験・IT全体の知識がキャリアアップの鍵
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SESエンジニアなら、案件を通じて“コンサル体験”ができる柔軟性がある
ITコンサルは「技術の最前線を離れる」仕事ではなく、
技術を武器に経営とITをつなぐ仕事です。
SESエンジニアの方は、ぜひ一度チャレンジの選択肢として検討してみてください。