投稿日:2025.10.23 最終更新日:2025.10.22
高還元SES vs フリーランス どっちがおすすめ?年収は?経験者が語るリアルな違いとリスク
近年、IT業界で注目されている「高還元SES」。
一方で、独立して働く「フリーランスエンジニア」も人気を集めています。
SNSなどでは「フリーランスの方が稼げる」「高還元SESは会社員なのに自由」など、さまざまな情報が飛び交っていますが、実際のところどっちが良い働き方なのでしょうか?
本記事では、SES企業・フリーランスの両方を経験し、現在は高還元SESを経営する筆者(川嵜)が、そのリアルな違いを徹底解説します。
目次
高還元SESとフリーランスの基本的な違い

フリーランス:一人社長として働く個人事業主
フリーランスは個人事業主(請負・準委任契約)として企業と直接契約します。
会社に雇われるのではなく、1人の事業者として働くため、労働基準法や社会保険などの労働者保護は適用されません。
つまり、休業補償・残業代・有給休暇といった会社員の特典はなく、すべて自己責任。
言い換えると「小さな会社を自分一人で経営している」ような立場です。
高還元SES:会社員として働きながら高収入を狙う仕組み

一方の高還元SESは、企業と雇用契約を結んで働く正社員エンジニアです。
社会保険・雇用保険・厚生年金などの労働者保護を受けながら、案件単価に応じて給与が変動する「単価連動型の給与体系」を採用しています。
一般的に還元率は75〜90%前後。
会社が取るマージン(利益)は少ない分、エンジニアに還元される収入が高くなる仕組みです。
ただし、自由度が高い反面、「案件選択の責任」や「待機リスク」など、自己管理力が求められる点も特徴です。
働き方の違い:自由とリスクはセット
仕事の獲得方法
フリーランスは自分自身で営業・契約・請求処理を行います。
エージェント(例:レバテックなど)を介して案件を紹介してもらう場合もありますが、
実際にはSES企業の商流を経由して案件に入るケースも多く、「商流が浅い」とは限らないのが実情です。
高還元SESの場合は、企業側が営業を行い、エンジニアは自分で案件を選択する「案件選択制度」を利用します。
リモート勤務・勤務地・技術領域など、希望に合わせて参画先を選べるのがメリットです。
契約上の責任とリスクの重さ
フリーランスは企業と「業務委託契約」を結ぶため、トラブル発生時の損害賠償責任を個人で負うことになります。
納品したスクリプトにバグがあり、顧客の業務が停止して損害が発生した場合、その責任が本人に及ぶことも。
対して高還元SESでは、契約主体は会社なので、万一トラブルが起きても損害賠償責任は企業が負う形になります。
これは個人では得られない安心感といえるでしょう。
フリーランス・高還元SESの年収と保障の違い

| 項目 | フリーランス | 高還元SES |
|---|---|---|
| 還元率 | 100%(売上=年収) | 約75~90%(単価連動) |
| 社会保険 | なし(国保・国民年金) | あり(社保・厚生年金・雇用保険) |
| 休業補償 | なし | 傷病手当金・失業保険あり |
| 営業・請求 | 自分で対応 | 会社が代行 |
| 待機時の収入 | 0円 | 一部補償あり(企業による) |
| 税務・会計 | 自己対応(確定申告) | 会社が管理 |
| リスク | 契約・賠償・収入不安定 | 待機リスク・単価変動 |
💡 ポイント
フリーランスは確かに収入上限が高いものの、「年収=年商」と混同してしまう人が多い点に注意。売上から税金・保険・経費・トラブルリスクを差し引くと、実質手取りは会社員と大差ないケースも少なくありません。
フリーランスが抱える見えないコスト

フリーランスは自由な働き方ができる一方で、次のような見えない負担があります。
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休業=即収入ゼロ
病気や怪我で働けなくなっても、傷病手当金のような補償はなし。 -
契約トラブルのリスク
損害賠償条項や契約解除条件を十分に確認していないと、
「全額損害賠償を請求された」というケースも実際にあります。 -
すべての雑務を自分で処理
請求書作成、税務処理、法務対応、営業活動など、
本業以外に費やす時間が多くなり、結果的に労働時間が増加する傾向にあります。
これらを補うためには、所得補償保険への加入や6ヶ月分の生活防衛資金を蓄えるなど、リスク対策が必須です。
どんな人がフリーランスに向いているのか?
フリーランスで成功している人には、共通点があります。
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PM・ITコンサル・要件定義など、上流工程の経験がある人
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契約交渉・税務・営業が一通りできるビジネススキルのある人
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スキルが市場価値として確立しており、案件を自力で獲得できる人
逆に、まだ運用保守レベル・若手層の段階では、フリーランスよりも高還元SESで実務経験を積む方が安定的です。
高還元SESが進化している理由
ここ数年で高還元SES企業は急増しています。
競争が激化する中で、エンジニア支援体制の進化が進んでいます。
代表的な取り組みは以下の通りです。
- 浅い商流の開拓・チーム参画の推奨
- 技術相談体制の整備(チャット・先輩エンジニアへの質問)
- キャリア相談・案件選定サポートの強化
- 待機保証制度の導入
- 勉強会・技術コミュニティの拡充
- 参画後のフォローアップ体制の整備
こうした仕組みが整うことで、高還元SESはフリーランスよりも安心して働ける中間的な働き方として注目されています。
まとめ|自由を求めるなら「リスク管理」が鍵
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フリーランスは収入・自由度が高いが、法的・経済的リスクもすべて自分で負う
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高還元SESは会社員としての安定性を保ちつつ、スキル次第で高収入を狙える
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どっちも「自由とリスクは表裏一体」
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目的が「起業」や「法人化」であれば、フリーランスは通過点として有効
筆者の結論としては、
💡「フリーランスは起業を目指す人向け、高還元SESは経験を積みたい人向け」
という整理が最も現実的です。
リスクを理解したうえで、自分のキャリア設計・生活スタイルに合った働き方を選ぶことが、長期的に安定したエンジニア人生につながります。