運用保守から設計構築へ!インフラエンジニアのキャリアアップ完全ロードマップ

ITインフラ業界で働くエンジニアの多くが、最初に経験するのは「運用保守」業務です。
監視や障害対応、手順書に沿ったオペレーションなど、基盤を安定して支える重要な仕事ですが、将来的にキャリアアップを目指すのであれば「設計構築」へのステップアップが欠かせません。
本記事では、サーバーエンジニアが運用保守から設計構築へキャリアを進めるための具体的な方法と、そのメリットについて整理します。
目次
ネットワークとサーバーの運用保守の違い
運用保守という枠組みは、インフラエンジニアの中のネットワークエンジニアやサーバーエンジニアでも大きな違いはありません。
扱う対象がネットワーク機器かサーバー機器かの違いに過ぎず、いずれも監視やトラブル対応が中心です。
ただし、サーバーエンジニアはOSやミドルウェア、アプリケーションまで扱うことが多いため、対応範囲が広く、より多様な知見が求められる傾向にあります。
この点が、サーバーエンジニア特有のキャリアアップの土台になります。
運用保守から設計構築へのロードマップ
インフラエンジニアが設計構築へ進むには、以下のようなステップを意識するとスムーズです。
1、閲覧系コマンドの習得
- ログ取得や設定値確認など、サーバーを「読む」作業が中心。
- 手順書に従って進めるため難易度は低く、OS操作に慣れる段階。
2、設定系コマンドの習得
- サーバーに対して実際に設定や変更を加える作業。
- 閲覧系で操作に慣れた後、この経験を積むことで構築案件に近づく。
3、構築経験の獲得
- 真っさらな機器に対し、一からパラメータを入力して設定を行う。
- この段階で「詳細設計書」を参照することになり、設計書を扱う経験が得られる。
4、詳細設計の経験
詳細設計書を作成する際は「基本設計書」を元にするため、基本設計にも触れる。
5、基本設計の経験
最終的に上流工程である基本設計を担えるようになり、設計構築エンジニアとして市場価値が高まる。
この流れを意識し、自分が現在どの段階にいるのかを明確にすることが大切です。
スキルシートを武器にする
キャリアアップを目指すうえで、スキルシートの書き方は非常に重要です。
多くのエンジニアは「実際には設計構築に必要な経験を積んでいるのに、スキルシートに記載が不十分で評価されない」というもったいない状況に陥りがちです。
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自分が経験したコマンドや業務を具体的に書く
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「運用保守」という肩書きにこだわらず、中で経験した設計や構築の要素を記載する
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営業やキャリアアドバイザーに添削してもらい、アピール力を高める
スキルシートの精度一つで、参画できる案件や年収が大きく変わるため、普段からこだわって作成することが重要です。
設計構築へ進むメリット
1. 年収が上がる
設計構築ができるエンジニアは希少で需要が高いため、市場価値が上がりやすく、単価連動型の企業では年収アップにつながります。
2. 食いっぱぐれない
手順書ベースの運用保守は誰でも参入しやすいため、年齢が上がると若手に置き換えられやすい傾向があります。設計構築やマネジメントができる人材は替えが効きにくいため、安定的に働けます。
3. 仕事への熱量を保ちやすい
設計構築は手順書どおりに作業するのではなく、自分で考える部分が多いため、やりがいを感じやすいのも特徴です。
4. テレワークしやすい
保守はサーバールーム巡回など物理作業が多い一方、設計業務はPC一台で進められるため、リモートワークとの相性が良くなります。
5. クラウドエンジニアに転身しやすい
オンプレの設計構築経験は、クラウドリフト案件(オンプレ環境をクラウドへ移行する案件)で高く評価されます。クラウド未経験でもオンプレ経験を武器に参画できる可能性が広がります。
運用保守案件にも「設計構築要素」はある
一見すると「運用保守案件=経験にならない」と思われがちですが、実際には設計や構築に関わる場面が含まれているケースもあります。
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サーバー増築やリソース調整
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サービス成長に伴うシステム改修
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新規導入や撤去作業
業務名は「保守」でも、実際には設計構築スキルを磨けるチャンスがあるのです。
そのため、案件内容をよく確認し、単価や業務範囲からどのフェーズに関われるのかを見極めることが大切です。
キャリアアップの具体的な進め方
自分の経験を棚卸しする
できること・触れたことを全て書き出し、現状を把握。
有識者に相談する
カジュアル面談や先輩エンジニアとの相談を通じて「次のステップ」に必要な経験を確認。
足りない経験を積む方法を考える
現職で積めるなら挑戦し、難しければ転職も検討する。
スキルシートを更新する
経験を適切にアピールできるように常にブラッシュアップする。
まとめ
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運用保守から設計構築へのキャリアアップは、明確なステップを踏むことで実現できる。
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閲覧系コマンド → 設定系コマンド → 構築 → 詳細設計 → 基本設計という流れを意識する。
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スキルシートはキャリアの武器。経験を正しく表現することが案件選びに直結する。
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設計構築に進むことで、年収アップ・市場価値向上・リモートワーク・クラウドキャリアへの道が開ける。
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保守案件の中にも設計構築要素が含まれているため、案件内容を見極めて経験を積むことが大切。
運用保守から設計構築への道は一朝一夕ではありませんが、着実にステップを踏めば誰にでも到達可能です。将来のキャリアと安定を見据えて、今日から行動を始めてみてはいかがでしょうか。