投稿日:2025.10.10 最終更新日:2025.10.10
ネットワークエンジニア構築業務の1日の流れ・仕事内容を徹底解説

ネットワークエンジニアとして運用保守から一歩ステップアップし、「構築業務」に挑戦したいと考えている方は多いでしょう。
しかし、「構築って実際どんなことをしているの?」「1日のスケジュールは?」と、具体的なイメージが掴みにくいという声もよく聞かれます。
そこで今回は、ネットワークエンジニアが構築現場でどんな1日を過ごしているのかを、実際の現場経験をもとに詳しく紹介します。
構築フェーズのリアルな仕事像を理解することで、キャリアアップの道筋がより明確になるはずです。
目次
構築エンジニアの1日のスケジュール
構築業務の内容はプロジェクトによって多少異なりますが、典型的な1日の流れは次の通りです。
時間 | 業務内容 |
---|---|
9:00 | 出社・メールチェック |
10:00 | パラメータシートからコンフィグ作成 |
12:00 | 昼休憩・チームで作業調整 |
13:00 | 構築準備・検証環境の構築 |
14:00 | コンフィグ投入(構築作業) |
16:00 | 動作検証・エビデンス取得 |
19:00 | 退社 |
それでは、1日の流れを順を追って解説していきます。
9:00|出社・メールチェックからスタート
出社後はまず、前日夜や早朝に届いた顧客や上司からの連絡メールをチェックします。
構築フェーズでは、構成変更・台数変更・追加オプションといった連絡が直前に入ることが珍しくありません。
この時点で内容を見落とすと、誤った設定で構築してしまうリスクがあるため、メール確認は非常に重要です。
朝の段階でタスクの優先順位を整理し、1日の作業スケジュールを明確にしていきます。
10:00|パラメータシートをもとにコンフィグを作成
構築業務の中核を担うのが「コンフィグ作成」です。
顧客が求めるネットワーク要件をもとに作られたパラメータシート(設定仕様書)を参照しながら、機器に投入する設定ファイル(コンフィグ)を作成します。
※ちなみにパラメータシートはExcelで作成されている事が殆どです。
コンフィグ作成のポイント
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メモ帳やサクラエディタなどでテキスト形式で作成
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Excel形式で差分比較ができるように管理する場合もあり
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WinMergeなどの差分比較ツールを使用して誤りを防止
作成したコンフィグは、自分だけで判断せず同僚や上司にレビュー依頼を行うのが一般的です。
ネットワーク構築では、1文字のミスが通信障害につながることもあるため、複数人によるチェック体制(レビュー)が欠かせません。
12:00|昼休憩とチーム内の情報共有
午前の作業が一区切りしたらランチタイム。
同じプロジェクトメンバーとランチに行き、午後の進め方や作業分担を相談することも多いです。
構築業務ではチーム連携が重要なため、雑談の中で作業の擦り合わせをする時間も実は大切です。
13:00|構築準備・検証環境の構築
午後は構築に向けた準備からスタートします。
ルーターやスイッチなどのネットワーク機器を開梱し、検証環境を構築します。
構築担当者が自ら検証環境を作ることが多く、LANケーブルの配線や機器の設置など、物理的な作業も多いのが特徴です。
特に夏場の構築現場は汗をかくことも珍しくありません。
また、ファイアウォールを導入する場合は、周辺のネットワーク構成やルーティングも理解しておく必要があるため、
構築担当者には設計内容を正確に理解するスキルが求められます。
14:00|いよいよ構築開始!コンフィグ投入
準備が整ったら、いよいよ構築作業の本番です。
午前中に作成したコンフィグを、検証機や本番機に投入していきます。
手打ちではなく、テキストをコピー&ペーストして少しずつ流すのが一般的です。
数十行ごとにshow running-config
などで設定内容を確認し、正しく反映されているかをチェックします。
構築中にコマンドエラーが出ることもあります。
たとえば、機器のバージョンによって使用できないコマンドがある場合は、設計者と連携して設計書を修正する必要があります。
このように、構築担当者は設計フェーズの理解も求められるポジションです。
16:00|動作検証とエビデンス取得
コンフィグを投入したら、次は動作検証の工程です。
PingやTracerouteなどで疎通確認を行い、設計書どおりに通信が行えているかをテストします。
検証項目はExcelの「試験項目表」にまとめられており、1項目ずつ確認してログを取得していきます。
コマンド操作によるログを保存したり、GUI機器であれば設定画面をスクリーンショットで記録します。
このエビデンス作成が地味に大変で、数百枚単位のログファイルを整理することも珍しくありません。
しかし、本番導入時のトラブルを防ぐためには欠かせない工程です。
構築業務で求められるスキルと姿勢
構築エンジニアには、単なる機器設定スキルだけでなく、
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設計書の読解力
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検証精度の高さ
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チームコミュニケーション
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トラブル時の判断力
といったスキルが求められます。
特に重要なのは「準備が9割」という意識。
検証段階で想定される問題をすべて洗い出しておくことで、
本番導入時のトラブルを最小限に抑えることができます。
実機で学ぶ構築力がキャリアを変える
ケルン(CAIRN)では、現場に即した「実機構築シミュレーション課題」を導入しています。
シミュレーションソフトではなく、実際のスイッチ・ルーターを使って構築練習を行うことで、
物理層から検証までの一連の流れを体験できる内容です。
実際の課題内容はケルンの技術ブログでも公開中。
https://note.com/cair_n
実機を使った構築経験を積むことで、設計構築エンジニアへのステップアップを確実に進められます。
まとめ|構築業務のリアルを知ることがキャリアアップの第一歩
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構築業務は「準備と検証」が9割を占める
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コンフィグ作成はミス防止のためレビュー体制が重要
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構築担当者は設計理解・検証精度・判断力が求められる
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実機での構築経験が成長を加速させる
構築エンジニアの仕事は、単なる設定作業ではなく、ネットワークを“形にする”責任あるポジションです。
運用保守からステップアップを目指す方は、ぜひ構築業務の現場感を理解し、自分のキャリアの指針にしてみてください。